2010年09月05日

アジアン・コラボレーションズ

アジアン・コラボレーションズ

今週末はアジアの芸能にどっぷりつかった2日間でした。
まず土曜日に出かけたのはバリとインドの音楽&舞踊のコラボ。
インド側はシタール・タブラ・ヴァイオリンにヴォーカルという編成の楽団と東インド古典舞踊。
バリ側は「スダマニ」というウブドの芸能グループと「ウロツテノヤ子」という日本のバリガムラングループによるガムランと舞踊。

衣装や動きなど微妙に違うけどなんか共通するものがある雰囲気。
舞台のあちこちに置かれた岩塩ランプが幻想的な雰囲気をかもしだして、しばし外の猛暑を忘れます。

第二部はインドでもバリでもポピュラーな物語「ラーマーヤナ」をテーマとしたコラボレーション舞台。

これは毎年続き物形式で上演されているらしく、今年はラーマの妃シータがラーヴァナ王にさらわれて王宮の奥深くに幽閉され、悲嘆にくれているところから始まり、ラーマの意を受けた神猿ハヌマンが王宮に忍び込んで王妃と会い、救出を約束して戻る途中、ラーヴァナ王の息子インドラジッドに見つかって、壮絶な戦いの末ハヌマンもとらわれの身となる……ハヌマンとシータの運命やいかに?

というところで「この続きはまた来年」とのこと。いやーん、そりゃ一応結末は知ってるけどさ、そんないいところで終わらないで~(笑)。

でもインド音楽にガムランが交錯し、そこにケチャまで入ってくるというチャンプルー状態がまた面白く、楽しく鑑賞できました。ことにバリ・サイドの雰囲気は一昨年ウブドで見たケチャの舞台を思い出して懐かしかったです。

で、今日は蓮勝寺というお寺で奉納上演されたワヤン・ベベルという絵巻物芝居。これはバリ・ガムランと日本のお坊さんによる読経・声明アンド笙とジャンベの演奏つきという実にカオスな、でも面白い試み。

今回上演されたのは「スタソーマ物語」というインドからジャワへと伝わった古い物語で、ルシャナ仏の生まれ変わりであるハスティナ国のスタソーマ王子が、人食い鬼となったプルサダ王を調伏するという話。これが大きな白い巻物に墨で描かれていて、その巻物を繰り広げながら語る、という形式です。すでにバリでもほとんど残っていない芸能だとか。

本堂の仏前に老若男女集まって、各自が団扇で涼を取りながら絵巻物に見入る、という図、昔の日本にもこんなのがあったよなーと、ふと「絵解き」とか「説談説教」というジャンルの芸能があったのを思い出しました。
まぁ、日本の場合はたぶん絵巻物形式というのはなくて、大きな掛け軸に描いた物語を説教師が指し示して見せる、という形式だったと思いますが。
(これに似た形で、壁に描かれた物語絵を使う、というものがあって、高野山に行ったときわたしも刈萱堂というお寺で「石童丸物語」を見せてもらいました)

本家バリでこれがすたれてしまった原因も、今ではほかにさまざまな娯楽があること、巻物を繰り広げて見せる、という形式ゆえにあまり大規模な上演ができないというあたりにあるそうです。

今回でも正直言って白黒の線画はちょっと離れるとほとんど図柄が判別できなくて、もっぱら視覚的要素よりも語り手の声の調子や効果音という聴覚的要素がメインの楽しみでした。
でも、たとえばこの絵をプロジェクターで見せてしまうと、大きな巻物を二人がかりでスクロールさせて見せていく、というアナログな楽しみと、いわば仏前への奉納物として描かれた巻物を広げることによって、多くの人がその功徳にあずかる、というスピリチュアルな要素が薄れてしまいますよね。
その意味では、今回の形式での上演はとても意義のあることであり、日本にもあった昔の民衆の娯楽の形態に触れることができたという点でも貴重な経験だったと思います。

それにしても、笙とジャンベが合うとは思わなかったなぁ(笑)。
これにガムランの人が鳴らす鈴の音が入ると、「なんだかこの音楽どっかで前に聴いたことが……」とふと思い出したのがこれ。



いやだって(強引なのは自覚してるけど)なんか雰囲気通じてるんだもん(笑)。


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Posted by 唯ねーねー at 22:44│Comments(2)ステージ
この記事へのコメント
昨日・今日と、ありがとうございました。
ディープな2日間でしたねぇ。(そして暑かった…。)
絵巻物芝居の演出音として、聲明が使われるというのが
とても新鮮に感じました。

それにしてもお寺で聴くガムラン…合い過ぎ!?
やはり生音は良いですね。

晴明サマのこのシーン、ですか。
…ナルホド(笑)。
Posted by KAYOKO at 2010年09月05日 23:34
いやガムラン楽器がお寺の内装になじみ過ぎてるのが笑えました。
インド舞踊の衣装も、あれお寺によくある菩薩や天女の衣装そのままですものね。お坊さんもあんな天女にユーワクされたらよろめくかも(爆)。

晴明サマのこの舞、萬斎さんによれば太極拳の動きが入ってるとか。
なるほどアジアはつながっている……
Posted by 唯ねーねー唯ねーねー at 2010年09月08日 21:10
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