2011年08月04日

海洋天堂

海洋天堂

木・金休みになってから一ヶ月が経過。でもまだ体が慣れません。
休みの日がズレただけでこれだけ心理的に抵抗感があるとは思いませんでした。
人間って慣れ親しんだ環境に対する執着心が思ったより強いものなんですねぇ。浦安から名古屋への引越し、という場所の移動にはすんなりなじめただけに(まぁもともと故郷だからということもあるだろうけど)、オン・オフのリズムの変化がこたえるというのは意外でした。

まだまだ9月まで耐えるしかないんですが……

嫌だ嫌だと言ってても仕方ないんで、せいぜいこの状態を利用するしかない、というわけで、ハローワーク通いしてた頃の楽しみ、映画のレディースデー狙いを始めました。でも名古屋で木曜日がレディースデーの所ってあまりない。名古屋駅前のミッドランド・スクエア・シネマがそうなんだけど、今のところあんまり見たい映画やってないし……
と思ってたら、名演小劇場という小さな映画館もレディースデーが木曜日だという話。そこで8月から「海洋天堂」という映画が公開、ときいて今日行ってきました。

名演小劇場は東京で昔行った渋谷のユーロスペースや新宿のシネマスクエアとうきゅうみたいな、地味だけどいい作品を上映する映画館、といった雰囲気でした。

で、実はこの映画がスクリーン初ジェット!
知らない人はなんのこっちゃ、と思われるでしょうが……(笑)

ジャッキー・チェンがきっかけでカンフー映画見るようになって、はじめて存在を知ったもうひとりのアクションスターにジェット・リー(リー・リンチェイ)という人がいます。ジャッキーとは雰囲気全然違うんだけどこれまた魅力的で、ことにカンフーアクションの動きがキレイで、いざ自分がカンフー習い始めた時にジャッキー系の南拳じゃなくて少林カンフー選んだのも(レッスン日程の問題もありましたが)ジェット・リーの影響なかったとは言い切れない。ハート

ジャッキーと同様DVDもいろいろ借りましたが、スクリーンでのご対面はこの映画が始めて。
でもこの映画、ジェット・リーの出演作の中ではかなり異色。カンフーのかけらもない、どころか、そのオーラも感じさせないごくごくフツーのおじさん王心誠(ワン・シンチョン)。

ただ、そのフツーのおじさんには自閉症の息子大福(ターフー)がいて、なおかつ自分は病気で余命いくばくもない。奥さんに先立たれ、今自分も息子をひとりおいて世を去らなければいけないとなって、息子の先行きを案じたお父さんは悩み、焦り、一時は心中しようとまで思いつめ、でも死に切れなくて迷いながら、息子がひとりになっても生きていけるようあらゆる手をつくす。その一生懸命さが伝わってきます。

いやぁ泣けるって評判は聞いてたし、ヤバいなぁとは思ったんだけど(基本その手の映画は苦手)、でも見に行ってよかったと思いました。
舞台となっている青島(チンタオ)の街並みもいい感じだし、水族館のブルーの風景がまたきれい。確かに病気をあつかっていながらあんまりキツい描写はないし、あえて「キレイゴト」で押し通しちゃっているけれど、それだけに見てるうちにこの親子を暖かく見守る周囲の人々と、いつのまにか同じ視線でターフーを見守っている自分に気づいてしまう。

そして、自閉症の人にはどう接しなければいけないか、ということも、自然にわかってしまうというところもあって、本来の映画の感動とは別物かもしれないけど、意義のある良作かな~と思います。

自閉症の人たちにとって、自分の生活リズムを乱されるということはとても精神的に辛いことなんですよね。そのあたりの描写はとても丁寧にされています。いや自分も休みの曜日がズレただけでこれだけキツいんだから、なんかわかる気がする。
シンチョンはそういう息子に、自分の死がもたらす環境の激変をなんとかして乗り切れるよう、いろいろ準備をしていくんですが、最後の最後に「父親の死」という事実をどうにかしてうまく受け止められるよう、はた目にはこっけいにも見えてしまう身体をはった準備をする……このくだりがまた印象的。

あまり大々的には公開されないだろうけれど、チャンスがあったら見ておいて損はない映画。おすすめです。


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Posted by 唯ねーねー at 16:44│Comments(0)みるきくよむ
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