2012年03月10日

琉神マブヤー

琉神マブヤー [DVD]

一部の方には「今ごろ?」と思われるかも知れませんが、ようやくシーズン1最終話まで見ました。
いや面白かった~(笑)。

ヒーローと悪の軍団(マジムンたち)の戦いの場面こそかっこいいものの、それ以外の日常生活がほとんどゆる~いお笑いのノリで進行していくので、もう笑った笑った。

ヒーローの変身前のヘタレっぷりと変身後のカッコよさのギャップにもしびれたし、無駄にゲストが豪華(といってもコアな人しかその凄さはわからないと思うけどw)な最終話と、メーキングの面白さに悶絶。

ストーリーも最後の対決に向かっての展開が、「えっ、そうなるのぉ?」と、これまた本土の発想じゃありえない方向。

いくらお仕置きしても懲りずにやってくるマジムンたちにうんざりしたヒーローが戦う意味に悩み始めたり、マジムンたちはマジムンたちで、「俺たちにだって悪さしなきゃならない理由があるんだ」と「マジムンの自己主張(笑)」をはじめたりと、いやこれどこへ向かって行っちゃうの、という感じでしたが、最後カチャーシーで大団円、というところがいかにも沖縄的エンディングでした。

いやでも、ちゃんとその前に、「戦うだけで物事は解決するのか」というすんごく大きなテーマに対する落とし前を、子どもにもわかりやすく見せてるところはさすがというべきか。

またこれを見ている子どもたちだけでなく、一緒に見ている親の世代にも、大事な問題提起をしています。悪さをやめない子どもをただ叱っているばかりでは、やがて叱る側に怒りの感情が生まれてきてしまう、それがひいては虐待や暴力につながってしまう、それを防ぐためには、どうして悪いことをやめないのか一度相手の身になって考えてみること、場合によっては相手と膝つき合わせてとことん話してみることも大切なんじゃないか、というメッセージも込められているように感じました。

主人公は昔のヒーローものと違って、元々は知力・体力飛びぬけたエリートでもない、沖縄のそこいらにいそうなやちむん職人(陶工)見習いのカナイ君。それが親方に怒られてふてくされて浜に遊びに行き、すっ転んだところに居合わせたオバアのマブイグミ(魂込め・事故にあったことがきっかけで抜け落ちてしまった魂を戻す儀式)を受けたところ、ニライカナイの戦士・琉神マブヤーの魂を宿してしまったことからこのお話が始まります。
実はここ見たときも、「誕生のきっかけがオバァのマブイグミかよ~」と爆笑でした。なんて沖縄的なの。

はじめは「なんでオレがぁ?」と自らの立場に戸惑いまくっているカナイ君が、何度か変身してマジムンたちと戦ううちに、最初はマブヤーとぜんぜん違うキャラだったのがだんだんそれに見合うように成長をとげていく……その分変身後のマブヤーにカナイ君のお笑い要素が入ってきたりするおかしさもあります。

テンポのゆるさと漂うノスタルジーは、一昔前の初代ウルトラマンや初代仮面ライダーを思い起こさせるものがあります。これは完全に作り手が子供のころそれにハマってた世代なんでしょうねぇ。なんかわたしと同世代の匂いがするぞ(笑)。

これを見て思い出したのが、子どものころに見た「ウルトラマン」でした。
それまでのスーパーマンとかバットマン、また同じ日本の仮面ライダーやウルトラセブンなんかは、もともとヒーローが常人と違う宇宙人だったり超人的能力を持っていながら普通人の姿に身をやつしているだけなのに対し、確かにエリートだけど普通の人間であるハヤタと宇宙からやってきたウルトラマンとはもともと別人(?)格だし、変身シーンでも地上にいるハヤタに対しウルトラマンは上空から飛来するイメージ画像が使われてるし、「普段ハヤタさんでいるときはウルトラマンはどうしてるんだろう」とか「ウルトラマンになってるときはハヤタさんの意識はどうなっちゃってるわけ?」というのが「一心同体」と説明されてもなんとなく納得できなかったのです。

でもその後、沖縄とかかわるようになって、近所のおじぃが祭りの時にはニライカナイからやってきたミルク神に変身したり、近所のにいにいが突然姿を消したかと思うと突然異形の存在「パーントゥ」となって姿を現したり、というのを見聞きしているうちに、あ、ウルトラマンもこういう「憑依タイプヒーロー」だったのね、と納得したのです。逆に言えば、こういう実例をごく当たり前に知っている沖縄の(特に離島の)子どもたちには、琉神マブヤーとカナイ君の関係についても、昔のわたしと違ってすんなり受け入れられるんだろうなぁ、と思った次第。

(大人になってから、ウルトラマンというキャラクターの成立に深くかかわっていた金城哲夫さんというウチナンチュの存在を知りました。ウルトラマンの故郷はM78星雲と説明されてたけど、主題歌には「♪光の国からぼくらのために 来たぞわれらがウルトラマン」と歌われてたし、この「光の国」がニライカナイであってもなんの不思議もないような気がします)

それから、最初はどうみても弱っちいひょろひょろのカナイ君、話が進むにつれ「実は琉球カラテが得意」という意外な一面を見せて変身もせずにマジムンたちと戦っちゃったり、浜でカラテの自主トレや筋トレ始めたりするシーンがあるのです。ここ見たときもまるでジャッキー・チェンの「蛇拳」だぁ、と笑えました。
そういえば第一話でカナイ君がヒロインのクレアちゃんにいきなりビンタ食らわされる場面があるけど、ジャッキー映画にはよくこういうシーンもあるよねぇ。絶対スタッフの中にジャッキー映画にはまった世代がいるに違いない(笑)。

このあとシーズン2、シーズン3と続いているし外伝なんかも出ているようだけど、この作品の持つ味はちゃんと引き継がれているのかな? 見たいような、見るとイメージ崩れそうでこわいような、そんな複雑な心境です。
それから、「仮面ライダー」の主題歌歌った子門真人の声を髣髴とさせる、ちょっとウエットでかつラテン系明るさを持ったアルベルト城間歌う「琉神マブヤー~魂の戦士~」がカッコよくてノリノリです(笑)。


同じカテゴリー(みるきくよむ)の記事
ドラゴン・ブレイド
ドラゴン・ブレイド(2016-02-20 17:50)

円空・木喰展
円空・木喰展(2015-06-20 13:01)

ナイトミュージアム3
ナイトミュージアム3(2015-03-29 17:39)

父子デュオ
父子デュオ(2014-03-14 22:34)


Posted by 唯ねーねー at 15:40│Comments(2)みるきくよむ
この記事へのコメント
M78星雲って どこだか知ってますか?
Posted by ひ at 2012年03月10日 21:11
南のナハ だと聞いております
Posted by う at 2012年11月03日 19:58
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。