わが敬愛するF=D氏
中学か高校の音楽の授業でこの人の歌うドイツリート聴いた時、その表現力と美声に惚れた。
以来父の膨大なレコード・コレクションからせっせと発掘しては聴きまくり、コレクションになかった「シューマン大全集」なんかは拝み倒して買ってもらい、どっぷりとハマった。
もう引退してからずいぶんになるけれど、かろうじて現役時代に間に合って、おこづかいはたいてサントリーホールでのリサイタルに通ったのも至福の思い出(「冬の旅」は……泣けた)。白状すると、だれかの演奏会に花束持って行ったというのも、この人が今のところ最初で最後。
この人について語り始めるときりがないのだけど、とにかく、ひとつひとつの言葉を丁寧に、その意味まで含めて発音や発声で表現しようと努める歌に対するスタンスは、たとえジャンルが違っても、大いに見習うべきものと思っている。
DVDは二枚組みになっていて一枚目は「オペラ編」、二枚目は「リート編」。
とりあえず一枚目の「オペラ編」を見てみたら、最初は「
フィガロの結婚」からの抜粋だった。
「フィガロの結婚」はビデオを持っているのだけど、最近見てなかったから新鮮。
F=D氏扮するアルマヴィーヴァ伯爵の品格あるスケベオヤジっぷり(爆)もよかったけど、今は亡きヘルマン・プライ扮するフィガロのはつらつとしたお姿には思わず涙が……ああこの人もこの頃は若かったよなぁ……
「リート編」はオペラ編ほどの視覚的面白さはなかったけど、最後のマーラーの「亡き子をしのぶ歌」はモノクロで、これも若い頃のF=D氏のお姿がカッコイイ。その後で80歳の現在(といっても3年くらい前かな)のインタビュー映像見たら、その落差にちょっとガクッと来たけれど(笑)。
もう生では演奏を聴けないけれど、やはりわたしの中ではナンバーワンの「歌い手」であることに変りはない。
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