空飛ぶ机
近くて遠い中国語―日本人のカンちがい (中公新書)
カンフー映画では時々机が宙を飛んでますが、今日はその話ではありません(爆)。
いささか不純な動機で始めた中国語のお勉強。
確かに発音や四声は難しいけど、始めて一ヶ月そこそこでWEB翻訳の助けを借りながらあっちの人と電子筆談(メールのやり取り)できる、というとっつきやすさがある反面、
文法構造は英語に近いし、
(ややこしい文章になると語順がよくわからん)
同じ字を使ってても意味のかけ離れた単語はあるしで、
なかなか一筋縄ではいかないなぁ、という感じもします。
先日ブックオフで手ごろな本を見つけました。それがこの「
近くて遠い中国語」。
中国語を勉強し始めて気づいたいろんな疑問が、かなり丁寧に解説されています。
そもそも中国語と日本語とはまったく異質な言語。ところが、中国語の表記システムである「漢字」が、言葉の発音ではなく言葉の意味を伝える「表意文字」であったがために、長らく「しゃべれなくても書いたもの見ればなんとなく意味がわかる」という状態が続いてきたのも事実。
ところが、長いこと使っているうちに、ひとつの言葉が意味するところがだんだんずれてきた……
まぁ一番有名なのが中国では単なる配偶者をあらわす「爱人(愛人ai ren)」という言葉でしょう。わたしでも知ってたくらいだから(笑)。
最近お仕事のメールでよく出てくるのが、「请告诉(qing gao su)」という言葉。英語ならばPlease inform me.とでもなる「知らせてください」という意味なんですが、日本の漢字に直すと「請告訴」なんですよね。こんなキツイ言葉使って大丈夫かな、という気分にどうしてもなってしまうけど、どうやら大丈夫らしい……このへんの感覚がよくわからないんです。
これだけならまだしも、それに拍車かけるのが「簡体字」という表記法。
日本には漢字のほかに「ひらがな・カタカナ」という表音文字ができて、漢字がわからなくてもその言葉を表記することができるけれど、中国にはそいういう文字ができなかったので、文字を覚えないことには言いたいことも表現できない。
中華人民共和国が成立した時に、一般庶民でも容易に漢字を習得できるようにと考えられ、普及したのがこの「簡体字」というわけです。
(本に書いてあったことを思い切りはしょった受け売りですが)
日本人の性(さが)として、どうしても元の字はなんだろう、と気になるし、ある程度見当がつくものもあるけれど、新しい文字と割り切って覚えてしまえばいいだけの話……なんですが。
困るのがその文字の省略のしかたのひとつ。「同音代替」というそうなんですが、字形を簡略化するかわりに、同じ発音で構造の簡単な漢字にそのまま置き換えてしまう方法。
日本人的にはどうしても「間違い」にしか感じられないところが厄介。
で、「空飛ぶ机」なんですよ。
中国では「機」を「机」と書くんですよね。だから電化製品にいろんな「~机」が氾濫することになります。「电视机(テレビ)」とか「录像机(ビデオ)」とか「打印机(プリンタ)」とか「手机(携帯電話)」とか。
仕事で航空便を扱ってますから、どうしても飛行機の話が出てくるんですが、これも「飞机(飛機 fei ji)」と書かれるんですよね。見るたびに空を飛ぶ机の映像が浮かんじゃって……
ちなみに空港は「机场(機場 ji chang)」です。これも見るたびに昔の教室の風景が頭に浮かんじゃう(笑)。
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