スケッチ・オブ・ミャーク
今月は「芸術の秋」にふさわしく、先日の「組踊特別鑑賞会」があったり、大城美佐子・よなは徹と大物ライブが相次いだりと、もうブログでのレポートが追いつかない状況です。
こんな中、沖縄(特に宮古)つながりのルートから情報が入ってきていた映画「
スケッチ・オブ・ミャーク」が、名古屋でも公開されましたので行ってきました。
上映館は今池の「
名古屋シネマテーク」。今回初めて行ったのですが、探し当てるのに苦労しました。実は今池ってあまりいいイメージの場所じゃなくて(特に一部盛り場のあたりは)、その一画は今まで足を踏み入れたことのない未知の領域。
ようやく探し当てた時は、「こんなところにこんな場所があったのか~」と思いましたよ。
「沖縄音楽のCD、レコードジャケット提示で一般・学生¥200引」というので、何を持っていこうか迷いましたが、やっぱり宮古の映画だからねー、ということで、砂川美香
「聴けば宮古」持参。
どんな映画だったかというと……
宮古島の西原町・池間島・伊良部島の佐良浜、池間島に近い狩俣、そして多良間島というある意味宮古諸島でもディープな場所に取材し、さまざまな人にインタビューし、さまざまな歌とそれを歌う人たちをカメラに収め、宮古に伝わる神歌とそれを口伝する神女たちの暮らしを中心に構成したドキュメンタリー。
中学生の男の子から103歳のオジィまで、さまざまな年代の人達が出てくるけれど、やっぱりキョーレツな存在感を誇るのはオバァたち。畑仕事して子ども産んで育てて、先祖代々受け継いできた島唄を歌って、神に祈って祭りを取り仕切って……そして80、90になっても人生を楽しんでいるオバァたちとその唄が、この映画の土台となっているのがよくわかる。
映画には「なりやまあやぐ」「東里真中」「ぱんがむり」など、わたしの知っている宮古民謡がたくさん出てきたけれど、歌によってはわたしの覚えているものと大きく節回しが違っているものもあり、そのあたりとても興味深いものがありました。
それから西原町のオバァ3人が歌っていた神歌「グディンブー」が衝撃的!
グディンブー、という名前からもわかるように、これ、「御前風」つまり琉球古典で言うところの「かぎやで風」なんですよね。歌詞も「かぎやで風」と同じ。メロディもずいぶん違っているけれど、音程の抑揚とか、やはり共通するものを感じる。
こういった歌が三線と出会って出来上がったのが今の「かぎやで風」なのか、首里で歌われていた「かぎやで風」が伝わって変形したのが「グディンブー」なのか不明ですが、たとえ後者だったとしても、三線が入ってくる前の沖縄の歌はこういうものだったのかなーという感じがしました。
気になったので帰り際にCD購入してしまった(笑)。
さて、オバァの存在感は絶大だけど、宮古では男衆もがんばってます。
池間島で繰り広げられる祭り「ミャークヅツ」の一場面。
ただでさえ「濃い」池間島の男たちが、そろってワイシャツ&ネクタイ姿で、白い手ぬぐいを鉢巻にしてクイチャーを踊る姿はとにかく濃い! これは実物を見てみたい!
ドキュメンタリーだから特にこれといった筋はなく、会社帰りに見たものだから真ん中あたりでオバァの歌声でトランス状態(寝落ちともいう……w)になりかけたけど、面白い映画でした。
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