カラカラ
昨日から公開になった映画「
カラカラ」、見に行ってきました。今日のミッドランドスクエアシネマは大混雑。「東京物語」「レ・ミゼラブル」「大奥」など話題作が目白押しだものなぁと思いましたが、「カラカラ」もなかなかの入りでした。っていうか、わたしが見に行くのってマイナーな映画が多いので、あんなに人が入ってる客席って見たことない気がする(笑)。観客の年齢層は高めでした。まぁ地味な映画ですものね。
仕事をリタイヤして「憧れのアジア旅行」の行き先に沖縄を選んだピエールと、夫の暴力に耐えかねてプチ家出した純子が、ひょんなきっかけで出会って旅をすることになって……というお話。予定調和的な結末まである程度読めてしまう、ほんとうに典型的なロードムービーでした。
今までにいくつもある「オキナワ映画」の中では、主人公のピエール(フランス系カナダ人)目線で物語が進行していくのと、最新のセンスで作られたリゾートホテル、ゆいレール、電気自動車などの登場する最も「いま」視点の沖縄(もちろん昔ながらの「沖縄」も登場するけど)、というあたりがちょっと目新しくて面白いです。
以下映画の感想をあんまりネタバレしない程度に。
「典型的なロードムービー」なだけに、退屈だと思う人もいるかもしれない。沖縄の風景も、「青い空青い海~!」というシーンはほとんどなくて、うす曇の空の、ちょっとさびしさ漂うオフシーズンの沖縄です(それはそれで落ち着いたいい感じだけど)。
ピエールはフランス系カナダ人なので、沖縄旅行中は英語で会話するけど独白シーンはフランス語。劇中でフランス語の歌を歌うシーンがあるのですが、それを聴いててふと下地勇の歌を思い出してしまい、「なるほど宮古の言葉ってフランス語に似てるわ」と妙に納得(笑)。
BGMの三線もいい感じ。 新良幸人はやっぱり間の取り方が最高です。伊平屋島の念頭平松の下でピエールが寝転がってるシーン(映画のための特別許可です)に流れる、「本嘉手久節」のウタムチをアレンジしたと思われる音楽がよかったな。
そのほかに挿入される沖縄民謡もいろいろあって、なおかつストーリーの邪魔にならないさじ加減。そのほかにも音楽ではないのですが、米軍機の爆音とか、大宜味村喜如嘉での、糸芭蕉をざっくざっくと刈り取っていく音とか、印象的な音(もちろん波の音も)があちこちにあって、この辺は監督のセンスなのかなーと思いました。
そういえば純子のたてる「騒音」もかなり印象的(笑)。
缶コーヒー「BOSS」のCMを見ていると自分たちからいちばん遠い立場のはずの「宇宙人ジョーンズ」のほうにいつのまにか感情移入してしまうように、この映画も見ているうちに自然にピエールのほうに感情移入してしまいます(そういえば「ピエールさん」のたたずまいは時々「宇宙人ジョーンズ」に似てなくもない)。今までと違った角度から見る「沖縄」もなかなか新鮮でよろしい。
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