2008年12月07日

徳川美術館に行って来ました。

徳川美術館に行って来ました。

昨日、観光スポットの少ない名古屋における貴重な観光資源、「徳川美術館」に行って来ました。
ここはもともと、尾張徳川家の殿様の隠居屋敷だったんだそうで、明治時代に廃藩置県で城を出た殿様の邸宅となり、その後昭和の始めに当主の英断によって尾張徳川家のお宝を収蔵する美術館になりました。
おかげで戦後のどさくさもうまいこと乗り越え、お宝はそっくりそのまま名古屋に残った、というわけ。うちの先祖が納めた年貢(?)もここのお宝には貢献してるはず、だとすればおおいに利用させてもらう権利はあるはずで(笑)。

今回のお目当てはここで今やっている企画展示「日本の楽器」。
なにしろ尾張徳川家のお宝の中には昔の楽器もいっぱい残っているわけで、その中には琉球楽器一揃い、なんて珍しいものもある。なんでそんなものがここに残ってるかというと、つまりあの「江戸上り」のおかげともいえるんだけど……

詳しいいきさつは別のブログに書いたので、ここでは省略。

まずは時代劇にも出てきそうな立派な門をくぐって、中へ。

徳川美術館に行って来ました。

尾張徳川家の武具やら茶道具やら源氏物語の絵巻やらを見てから(これだけも充分面白い展示なんだけど)、お目当ての楽器の展示へ。最初のほうは雅楽に使われた楽器類の展示が主流で、さながら「陰陽師」の世界。ことに琵琶だとか笙だとかを見ていると、どうしたって岡野玲子描くところの楽器オタクの源博雅君を思い出す……今回展示されてた琵琶の中には、さすがに「玄象」みたいに何か憑いてそうなヤツはいませんでしたが(笑)。

でも今回の展示の目玉アイテムでもある螺鈿細工の琵琶は見事だったですね~。ちらしのど真ん中にフィーチャーされるだけのことはありました。
徳川美術館に行って来ました。

実際に見て驚いたのは、これがメイド・イン・琉球だったこと。いやいい仕事してます。コレは絶対、琉球王府おかかえの職人の手になるものに違いない、と思ったね。

そして最後に展示されていた琉球楽器一揃い。これは見事。

もともと宮廷で「御座楽(うざがく)」という中国色の強い音楽を演奏するための楽器で、「江戸上り」の使節が将軍の前で演奏する時に使った楽器を、帰りがけに尾張徳川家に贈ってくれたものらしい。首里(や後に東京に移住した尚家のお屋敷)にあった楽器は戦災でみんな焼けてしまったから(名古屋においてもよくあの空襲の中焼けずに残ったなと思うが)、ここのワンセットが日本に残る貴重な楽器なのです(水戸の徳川家にも残っているらしいけど)。

特に三線と三板は、今の沖縄の楽器が中国から伝来した時の原型に近いものに感じました。三線は長短二種類あって、短い方がサイズ的にも棹の作りも今使われてる三線に近い。でもティーガーは巻いてなくて、表と裏から張った蛇皮の境目は、幅2~3センチの鼈甲の板で覆ってあります。
でも演奏者の立場から言わせて貰うと、これそのまま弾いたら絶対蛇皮のウロコに引っかかって袖が傷む(笑)。
たぶん当時の奏者も布か何か当てて弾いたはずで、だったら最初から布巻いたほうがいいんじゃないか……というわけで今みたいなティーガーをつけるようになったんじゃないかしらん(そうすれば鼈甲板なんか使わなくても済むし)。

三板も朱と金を使った漆塗りで長い朱房がついたデラックス版。これを今みたいに「チャッカ、チャッカ」と打ち鳴らすなんてちょっと想像しにくいので(だいいち漆塗りが傷みそうだし)、当時は四つ竹みたいにもっとゆったりしたリズムを刻んでたんじゃないかという気もします。

ちなみに展示の解説によれば、三線はサンスエン、三板はサンハンと呼んでいたらしいです。


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Posted by 唯ねーねー at 11:27│Comments(0)ナゴヤ
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